1. TASCLはどのような種類の細胞の三次元培養に用いることができますか
- hiPS細胞(複数株)
- hiPS由来心筋細胞(正常、疾患)
- HepG2細胞
- MIN6細胞
- ヒト由来幹細胞
- ヒト膝軟骨細胞
- マウスES細胞(複数株)
- マウス初代肝細胞
- マウス初代心筋細胞
2. 他社の細胞培養マイクロプレートや三次元培養用器材と比較して、TASCLのメリットを教えてください
TASCLは、マイクロウェルの底部が貫通していることから、
- 細胞懸濁液を上から滴下するだけで、大きさ・形状・品質が均一な細胞塊を一度に「~103個培養できます。細胞懸濁液に遠心分離は不要です。(⇒例えば、ハンギングドロップ法の場合は、技術者の熟練の技が必要だが、TASCLの場合は、上から滴下するだけのため、細胞培養初心者でも、大きさ・形状・品質が均一な細胞塊を培養することができる。)
- TASCLの底面が多孔質のため、ガスや培地が循環します。そのため、1ヶ月以上の長期培養ができ、分化誘導も可能です。
- 任意の培養器材と組み合わせて使用できます。
- ウェルの深さが、細胞塊の直径以上に深いため、培養液交換の際の細胞化のロスがほとんど発生しません(細胞塊の流出が防止されます。)。
- 培地や試薬のコスト削減に繋がります。
- 開封してすぐに使用できます。
- TASCLを載せたまま、細胞を顕微鏡観察できます。
3. 細胞混濁液の播種量の目安はどの程度ですか?また、播種時の注意事項はありますか
細胞懸濁液の量は500uLを標準として、多少上下しても問題ありません。
その他注意事項としては、インサートの内側に細胞懸濁液(500uL)を播種した後、細胞が沈降するのを待ってから、インサートの外側(ウェル部分)に液面がTASCLの上面と同じくらいになる程度に培地を追加するということです。
4. 三日月形状の窪み部分は何に使いますか?また、細胞懸濁液を播種時にこの穴に細胞が入り、不純物となって、マイクロウェルに混入することはありませんか
この窪みは、細胞懸濁液を滴下した後、培養液を追加注入したり、吸引したりするための窪みです。細胞懸濁液を滴下した後、培養液をマイクロウェルの上から注入・吸引すると、マイクロウェルから細胞が出てしまう恐れがありますので、この窪みで培養液の量を調整します。
この窪みとマイクロウェルの間は壁で仕切られているため、窪みに不純物が残ったとしても、マイクロウェル側に流れることはありません。
5. TASCL上の細胞塊を顕微鏡で観察できますか
観察できます。
6. ウェブサイトの写真のような蛍光染色をしたいのですが、どのような手順で染色すればよいでしょうか
TASCL上での各種染色をする際の注意点は、常に試薬がカルチャーインサートの上から下(表から裏)に流れるように操作することです。一つの簡易的な方法は,TASCL/カルチャーインサートをウェルプレートから取り出し、滅菌したドレープなどの上においてTASCL内の液体を目的の試薬と置換していくことです。液面が常に,TASCLの上面を超えない程度に、滴下速度を調整します。固定や染色等、試薬を入れたまま待ち時間が必要な場合は、カルチャーインサートをドレープから離して、宙に浮いた状態にしておけば、表面張力で液体は保持されます。
量子ドット、あるいはその他のライブイメージング用蛍光試薬を播種前、あるいはEB培養中の培地に添加しておくのも良いです。
2次元培養で使用している免染や特殊染色をTASCL上で行うことも可能です。
なお、細胞塊を球体のまま染めても、定量的染色はできません。染まり具合の比較など、定量的議論が必要な際は、やはり固定して切片にしてから染色すべきです。その際には、細胞塊包埋用ゲルを用いると便利です。
7. 細胞塊は上段のカルチャーインサートのメンブレン(浸透膜)上にありますが、細胞塊から出たタンパク質や酵素などは下段まで通過しますか
タンパク質分子のサイズは~10nm程度、酵素のサイズは~20nm程度ですので、カルチャーインサート(PETメンブレンのポアサイズ 30μm)を通過します。
8. 細胞塊がカルチャーインサートのメンブレン上にできますが、細胞塊にならなかった細胞はどうなりますか
細胞塊形成が上手く行っていれば、細胞塊にならなかった周りの小さな細胞の数は、細胞塊を構成する細胞数に対して、数%になると思います。一般的な実験であれば無視できるレベルです。それが無視できないレベルの、微小な差を検出する実験系の場合は、細胞塊形成後に、別容器に取り出して解析していただければと存じます。
9. 培養した細胞塊(スフェロイド)の回収はどのようにすればよいですか?回収が難しい場合の対処方法などありますでしょうか
ピペットで培養液ごと強めに吸い取っていただくか、またはピンセットでTASCLをカルチャーインサートからはがし、培養液で細胞塊を洗い流すようにして、培養液ごと回収します。
回収が難しい場合は次の方法をお試しください。
a) 細胞塊がTASCL側に接着している場合
TASCLをピンセット等で把持して,インサートから剥がし,緩衝液などが入った6ウェルプレートや遠沈管の中で,ピペットの水流により落とします。
b) 細胞塊がインサート膜側に接着している場合
TASCLをピンセット等で把持して,インサートから剥がし,インサート表面に残っている細胞塊をスクレーパーなどで,こすり落とします。
10. TASCLの製品仕様を教えてください
TASCL製品紹介ページより規格・仕様の詳細をご確認ください。
11. TASCLの滅菌はどのようにしていますか
ガンマ線滅菌です。
12. TASCL1000ウェルとTASCL600ウェルはどのような用途を想定していますか
TASCL1000ウェルは、ウェルあたりの培養細胞数の目安は500個~3,000個で、再生医療の研究における各種細胞の三次元培養・分化誘導に用いることを想定しています。
TASCL600ウェルは、1ウェルあたりの培養細胞数の目安は2,000個~10,000個で、TASCL1000ウェルよりも大きな細胞塊が培養できるため、三次元スフェロイドやオルガノイドの形成に向いています。
13. TASCLの価格、購入方法を教えてください
TASCL製品紹介ページより価格をご確認ください。
購入方法に関してはお電話、またはお問い合わせフォームよりご連絡ください。
14. TASCL試供品の入手方法を教えてください
お電話、またはお問い合わせフォームよりご連絡ください。なお試供品につきましては1研究室等につき1セットまでとさせていただいております。
15. TASCLの有効期限を教えてください
TASCLの有効期限は、製造日から起算して1年間です。